カウンター


最新の記事


カテゴリー


月別アーカイブ


最近のコメント


最近のトラックバック


プロフィール

管理人:あにみつ

このブログはリンクフリーです。
ご自由にどうぞ^^

個人的なご連絡はコチラへどうぞ。
animitsu◎yahoo.co.jp
(◎を@にして下さい)


ランキング

FC2ブログランキング 人気ブログランキング
応援のクリックお願いします。


ブロとも申請フォーム


ブログ内検索

アクセスランキング

アクセスランキング 全ランキング表示

ネット小説ランキング>短編集部門>「【SSS】ショートショートストリート」に投票

ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



選択装置

ティー氏は散歩がてらに友人であるエム博士の家に立ち寄った。


「お久しぶりです、エム博士。相変わらずお忙しいのでしょうね」

「お久しぶりです、ティーさん。丁度一つ完成したところで、誰かに見せたかったところなんですよ。どうぞお入り下さい」


リビングにティー氏を案内すると、エム博士はテーブルの上に置いてあった物体を持ち上げた。その物体はソフトボールを半分に切った形状をしており、金属で被われていた。
博士はその物体を自分の顔の前まで持ってくると、質問を始めた。


「ティーさんにお出しするのは、コーヒーか紅茶のどちらが良いかな?」

「コーヒーデス」

「ではアイスとホットではどっちが良いかな?」

「アイスデス」

「と言うことで、アイスコーヒーでよろしいですかな?」

「流石ですね、博士!実はアイスコーヒーが飲みたかったんですよ。するとその装置は人の心を読む装置ですか?」

「いえいえ、違いますよ。持ち主にとって最善な選択を教えてくれる装置なのです」

「ほう、それは凄い。素晴らしい装置ですね。どうでしょう、テストがてらに一ヶ月ほど私にお貸し頂けませんでしょうか?」

「いいですよ。では念のため、装置に聞いてみましょう」


再びエム博士はテーブルの上の機械に質問をした。


「お前をティーさんに一ヶ月ほど貸してあげても良いかな?」

「ハイ」

「やった。それじゃあ、お借りしますよ、博士」

「ええ、どうぞ」


装置を借りたティー氏は、さっそく色々な場面で装置に質問し、装置の選択に従って行動した。
効果は抜群であった。
車の運転中、経路の選択をやらせた時には玉突き事故を避けることが出来た。
彼女との結婚について聞いてみたところ、反対された。装置を信じ、別れ話をしてみると、彼女は他にも何人もの男と交際している事が発覚した。
こんな調子で、装置はティー氏に聞かれる度に最善の選択をしてきた。

そして一ヶ月が経過し、ティー氏はエム博士の家に装置を返しに来た。


「素晴らしい装置でしたよ、エム博士。あらゆる場面で、私にとって最善の選択をしてくれましたよ」

「それは良かったです」

「でも、私、一週間程前に、つい欲を出してギャンブルにこの装置を使ってしまったのです」

「ほう、それでどうなりましたか」

「はい。まず、どのギャンブルが良いかをこの装置に聞いたところ『宝くじ』って答えでした」

「昨日抽選のヤツですな」

「ええ、そうです。さらに装置に尋ねると、博士の家の近くにある小さな売り場が良いと言われたのでそこへ行き、装置の指示で連番で1000枚買いました」

「1000枚もですか!結果はどうでした?」

「見事に大ハズレでした。しかも連番の最後のくじは一等と5番違いですよ」

「……それは申し訳ありませんでした。装置の故障の様ですね」

「いえいえ、謝らないで下さい。私の責任ですし、装置も故障していないと思いますよ」

「それはどうしてです?」

「ここに来る途中、その宝くじ売り場の前を通ったんですが、案の定【この売り場から一等出ました】って張り紙がありました。それを見て解ったんです。コレは楽して儲けようとした私に対する戒めです。そんなことで儲けても私の為にならないって事なんでしょうね。この装置は、目先の事だけでなく、将来の事も考えた上での最善の選択をしてくれたんですよ。コレは素晴らしい装置です。本当にありがとうございました」


しばらく話した後、ティー氏はエム博士に何度もお礼を言いながら帰っていった。
軽快な足取りで帰っていくティー氏を見ながらエム博士はつぶやいた。


「ティーさんの言うとおり、この装置は私が考えていたより良く出来ているようだ。私のもとに無くても、持ち主である私に大金をもたらし、さらには人間関係まで円滑にしてくれた」
スポンサーサイト



無かった事にしたい失敗

「課長!無かった事にしたい失敗ってありますか!?」


課長が席に着くのを見計らい、エム氏は課長にマイクを突きつけた。
まだ始業前であった。


「一体なんだね、エム君。朝っぱらからいきなりマイクなんか持って」

「いいから言ってみて下さい」

「見てわかるとおり、今朝ヒゲ剃りに失敗したんだよ。ヒリヒリしてかなわん」

「えっ?どこですか??」


エム氏は笑みを浮かべながら手鏡を取り出し、課長に手渡した。


「傷が無い!…一体どうなっているんだ」

「遂に完成したんです、課長!」

「何の事だね」

「以前カラオケに行った時に言ってたでしょ。『このマイクに向かって無かったことにしたい失敗を言うと、本当に無かった事になればいいんだが…』って」

「じゃあ本当に作ったのか!スゴいじゃないかエム君!酔っぱらった勢いで冗談で言ったんだが本当に完成させてしまうとは……。コレさえあれば我が社は倒産を免れるのはもちろん、今後は失敗を恐れず何でも出来る。これから我が社には恐いもの無しじゃないか!」

「はい!!」


エム氏の会社はいわゆるベンチャー企業。
設立以来、増収増益の連続で会社はどんどん大きくなり、業界トップを狙える規模にまで成長していた。
しかし、会社の総力を挙げて始めた事業が大失敗。
結果、莫大な負債を抱え倒産の危機に陥っていた。


「君は我が社の救世主だ。
だが、今ここであの大失敗を無かったことにしてしまったら、君の手柄だとは判らなくなってしまうなあ。よし!エム君。そのマイクを持って社長のところへ行って来い!社長喜ぶぞー!」

「はい!行って来ます!!」


社長の喜ぶ顔を想像し、感情が押さえきれないエム氏。
ノックもせずに社長室に飛び込み、満面の笑みで社長にマイクを向けた。


「社長!無かった事にしたい失敗ってありますか!?」

「君の様な無礼な社員を入社させたことだ!」


 | HOME |  ▲ page top

copyright © 2006 【SSS】ショートショートストリート all rights reserved.     




上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。