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幸せの神

「おはよう!エム君、今日は○月22日、今日もお互い頑張ろうね」


いつもの通り恋人であるアイのモーニングコールで目覚めた。


「ああ、おはよう。それじゃあ用意して行ってくるよ」


アクビをしながら返事をし、電話を切った。
最近は少し冷たい態度を取っていた。
どうせならビックリさせてやろうと考えていたからだ。

今日もいつもの通り会社へ行き、家に帰った頃には日付が変わっていた。

翌朝、珍しくモーニングコールの前に目が覚めた。
ふと横を見ると、五十代ぐらいの見知らぬ男が立っていた。
明らかに普通の人間には見えなかった。


「誰だお前は!」

「私は幸せの神」

「ふざけるな!勝手に人の家に入りやがって!出ていけ!!」


気味が悪いので、服をつかんで部屋から引きずり出そうとしたが、男に触れる事が出来ず、するりと通り抜けてしまった。


「私が触ることを望んだ場合以外は私に触れる事は出来ん」


男はそう言いながら片方の手でオレの左手首をつかむと、もう片方の手の人差し指をオレの左手の甲に押し当てた。
あっけに取られているオレを横目に男は言った。


「これでわかっただろう。先程指を当てた箇所を見てみろ」


言われるがままに左手の甲を見ると、さっき指を当てられていた箇所にハッキリと赤い"幸"の字の形をしたあざが出来ていた。
指で擦ってみたが消えなかった。


「ふーん、どうやら本当みたいだな。で、何をしてくれるんだ?オレを幸せにしてくれるのか?」

「特に何もしない。幸せは自分で見つけるもの。私は機会を与えるだけ。それを生かすも殺すもお前次第だ」

「じゃあ、オレには必要ないな」


そう言い終えたところで電話の呼び出し音が鳴り響いた。


「おはよう!エム君、今日は○月23日、今日もお互い頑張ろうね」

「ああ、おはよう。あっ、そうだ!今日は早めに帰れそうだから、久々に会わないか?話したいことがあるんだ」

「ホント!?いいよ」

「じゃあ、8時にいつもの店で」

「うん!わかった!」


電話を切り、再び幸せの神に向けて話し始めた。


「さっきのは恋人のアイ。彼女とは付き合って3年になる。今月初め、婚約指輪も買った。もちろんアイに渡しプロポーズするためだ。アイも結婚をしたがっている様子だったからきっと喜ぶだろう。早く渡したかったが仕事が忙しく、なかなか渡す機会がなかったが、今日渡す事になった。仕事も順調そのもの。どうだ、わかっただろ?もしお前が本当に幸せの神なら、他のヤツのところに行ったらどうだ?オレには必要ないんだ」

「お前に憑く」

「頑固なんだな。まあオレが拒む事は出来ないみたいだし、勝手にすればいいさ」


時間が無かった事もあり、これ以上幸せの神の相手をする事はやめ、身支度をし会社に向かった。
幸せの神もついてきた。
コイツの姿はオレにしか見えないし、声もオレにしか聞こえないようだ。
家以外では幸せの神に話しかけない事にした。
周りからは不気味な独り言に見えるだろうし、コイツの事を話しても誰も信じてくれないに違いないからだ。
それに幸せの神は何も話さないし、何もしてこない。ただついてくるだけだった。

夕方、オレの上司である課長が言った。


「今からA社との接待をする事になったんだが、エム君かティー君のどちらかについてきて欲しいんだ。どっちが来る?」


ティーはオレと同期であり、良きライバルでもあった。
A社は大事な大口の取引先であり、今までは課長と私とティーの3人で担当し交渉を進めていた。明日は朝から大事なプレゼンを控えていた。
明日のプレゼン以降は私かティーのどちらか一人に担当を任される事になっていた。接待に参加すればティーに差をつけることが出来る。


「はい。それなら私が!」


オレは間髪入れずに答えた。
隣でティーも「私が…」と言いかけていたが、オレの声の方が早かった。


「じゃあエム君についてきてもらう事にしよう」


接待は上手くいった。
終わった頃には10時を回っていた。
あわててアイに電話をした。


「悪い。急に接待が入って…、もちろん約束を忘れていたわけじゃ無くて、時間が無かったんだ。この埋め合わせは必ず」

「電話ぐらいくれてもいいじゃない」

「大事な取引先だったんだ。だから席を外せなくて」

「そう……最近、冷たいね」

「いや、それは…」

「……もういい…………別れましょう」

「なっ!ちょっと待って」


既に電話は切れていた。
何度もかけ直したが、繋がらなかった。
家に帰ってからやけ酒を飲んだ。


「アイ以外の女と一緒になった方が幸せだという事なのか!?」

「さあな」

「アイよりいい女なんて絶対に居ない!!何が幸せの神だ!!本当は疫病神か悪魔の類だろ!!」

「違う」

「くそ!!この悪魔め!!」


オレは幸せの神に殴りかかったが、やはり通り抜けてしまいバランスを崩し転んでしまった。


………。


電話の呼び出し音が鳴り響いた。
いつの間にか寝てしまったようだ。
アイだ!考え直してくれたようだ。


「昨日はゴメン!今日こそは会おう!!」

「何を寝ぼけているんだ!!今何時だと思っているんだ!!」


課長だった。あわてて時計を見ると9時半を過ぎていた。


「うわ!!すいません!!すぐに向かいます!!」

「もう来なくていい!!」

「あっ!待って下さい!」


既に電話は切れていた。


「アイの次は仕事かよ。お前が来てからどんどんオレは不幸になっている。わかったぞ!お前、本当は貧乏神だろ!!」

「違う。幸せの神だ」

「嘘吐け!!」


またもや幸せの神に殴りかかったが、バランスを崩し転んでしまった。
こうなる事はわかっていたが、こうでもしないと気がおさまらなかった。
床に着いた左手の甲の赤い"幸"の文字が目に入った。
字の部分が押しボタンのように膨れあがっていた。


「何が"幸"だ!!」


オレは思いっきり左手の甲を殴りつけた。


………。


電話の呼び出し音が鳴り響き、オレは目覚めた。


「おはよう!エム君、今日は○月23日、今日もお互い頑張ろうね」

「23日?」

「そうよ」


辺りを見回したが、どこにも幸せの神の姿は無かった。


「はは、なんか変な夢を見ていたみたいだ」

「どんな夢?」

「イヤな夢さ。……そんな事より、今日は早めに帰れそうだから久々に会わないか?話したいことがあるんだ」

「ホント!?いいよ」

「じゃあ、8時にいつもの店で」

「うん!わかった!」


夕方、オレの上司である課長が言った。


「今からA社との接待をする事になったんだが、エム君かティー君のどちらかについてきて欲しいんだ。どっちが来る?」


夢と全く同じであった。


「私が行きます!」

「じゃあティー君についてきてもらう事にしよう」


その夜、オレはアイの左手薬指に婚約指輪を嵌めた。
アイは涙を浮かべ喜んだ。


「いじわる。私を驚かせる為に冷たくしていたなんて……。
……あれ?こんなところにホクロなんてあった?」


アイはオレの左手の甲を指さした。
見ると確かに小さなホクロがあった。
顔に近づけてよく見てみると、それは"幸"の字に見えた。
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忘れさせ屋

エム氏は一人の女と話しながら、ある店に向かっていた。


「じゃあ、その店は忘れたい人に関する記憶を消してくれるって事?」

「ああ。そう言うことだ」

「なんでそんな店に行く必要があるの?」

「本気で結婚を考えているんだ!だから、今まで付き合ってた人の事は忘れたいし、君にも忘れて欲しいんだ!」

「えっ!?ホント!?」

「ああ、ホントだよ」

「嬉しい!!じゃあ、私たち2人は、今から過去に付き合った人との記憶を消しにいく!!そして、キレイさっぱりしてから結婚しようって事ね♪」

「そう言うことだ。……ほら、着いたよ」


その店はとても小さい建物だった。
入り口のドアの上には、申し訳程度に【忘れさせ屋】と書かれた看板を掲げている。
さっそく2人は店の中に入った。
中は小さな歯科医院の様な雰囲気だった。
入り口を入ってすぐは待合室になっている。
エム氏は受付のところで手続きを終えると女に話しかけた。


「実は既に予約してあるから、すぐに呼ばれるはずなんだ」


その言葉の通り、すぐに女の名が呼ばれた。


「一人づつなの?」

「ああ。装置が一つしかないからな」

「そっかあ、じゃあ行ってくるね♪」


女は嬉しそうに奥の部屋へと入っていった。
奥の部屋も歯科医院の様な雰囲気だった。
部屋には歯科医院にある診察台の様な装置が一台、その横にはテーブル、その上に置かれたコンピューターの様な物、それと店の男が一人いるだけ。


「では、腰掛けて下さい」

「はい」


女が腰掛けるとヘルメットの様な物が頭に被せられた。


「では、始めますよ。いいですか?」

「えっ!?ちょっと待って、誰を忘れたいのかを言わなくてもわかるの?」

「はい。お連れ様から伺っております」

「えっ!?」


女は疑問に思った。
今までエム氏にその様な事は話したことが無い。
『どうして自分の過去の男を知っているのだろうか?』
『誰かにこっそり聞いたのだろうか?』
『探偵とかに頼んで調べたのだろうか?』
女が頭の中でその様な考えを巡らせている最中に店の男が言った。


「では、始めますよ」


そう言うや否や女の頭に電流が走った。


「うっ!」

「はい、終わりです」

「あれっ!?もう終わりですか?」

「ええ、お気をつけてお帰り下さい」


女が待合室に戻るとエム氏がソファーに腰掛けていた。
エム氏と目が合った女はよそよそしく会釈をして店を出ていった。


アイファ星人の侵略

2体のアイファ星人が宇宙船の中で会話をしていた。


「この星もダメだったな」

「ああ。俺たちが住める環境じゃないな」

「次はどこへ行く?」

「地球という星だ。すぐに着くぞ」


間もなくしてアイファ星人の宇宙船は地球に着いた。


「なかなか良さそうな星じゃないか。酸素の含有量やその他の成分までアイファ星とソックリだ。多少は汚染されているがコレぐらいなら末期状態であるアイファ星とは比べ物にならない程キレイだ!」

「ああ、ココは良さそうだ。ではさっそくこの星を支配している生物を探してみよう」


2体は宇宙船の外に出て、歩き廻った。


「おい!見てみろ。我々に似たあの姿。アイツ等がこの星の支配者に違いない。地球星人だ!!」

「間違い無いな。体の大きさも我々と同じぐらいだ。だが、見たところ文明のレベルは低そうだ。コレなら楽に侵略出来るかもしれん」

「ああ、念のため宇宙船に地球星人を2体程連れ帰り、調べてみる事にしよう」


アイファ星人の2人は2体の地球星人に麻酔銃を撃ち、宇宙船に連れ帰り、調査を開始した。


「なんだコイツら。体の構造は我々にソックリだが、知能は我々の1/10以下じゃないか。この星の文明は大したことなさそうだな」

「ああ、間違いない。それよりコイツ等、目を覚ましそうだぞ。どうする?」

「丁度いい。攻撃能力を確かめるために威嚇してみよう」


2体の地球星人は目を覚ました。
その瞬間、アイファ星人達が襲いかかってきた為、地球星人達は筒状のモノの先端から何かを発射し、アイファ星人達を攻撃した。


「アハハハハッ!なんだコイツ等!こんな原始的な攻撃方法しか持っていないのか!こんなの効くわけ無いだろ!今時、俺たちがこんな原始的な攻撃したら笑い者にされるぜ!コイツ等なら恐れる必要無しだな!!」

「そうみたいだな。その上臆病者だ。必死で逃げて行きやがったぞ」

「よし。この星に決めた。この星に移住しよう」


数日後、全てのアイファ星人が地球に訪れた。
アイファ星人達は世界各地に住み着き、瞬く間に支配していった。


「この星にして正解だな」

「ああ、アイツ等、俺たちの持つ道具にビビって手出ししてこないから戦争の必要も無かったしな」

「ホント楽勝だったな!………んっ!?おい!見てみろよ、アレ!!きっと地球星人達の家だぜ」

「おっ、ホントだ!見に行ってみよう」

「ふ?ん、数軒がずらっと一列に並んでいるんだな。小さいし、構造も単純だが、低脳な地球星人の奴らにしては上出来だな。まあ家の主は逃げ出した後だけどな。ハハハッ!」

「おい。入ってみろよ。なんか落ち着くぞ!」

「おっ!ホントだ!!コレはイイ!!みんな呼んでやろう」


アイファ星人は通信機により、近くに住むアイファ星人達を呼び寄せた。
そして、一軒の家に一体ずつが入り、くつろいだ。


「なるほど!!コレはイイ!!落ち着くなあ」

「コレは快適だ!地球星人の奴らもなかなかやるなあ!!」

「なぜか安心できる良い家だ」


アイファ星人達がくつろいでいる時であった。
突然全ての家が急浮上を始めた。


「どうなってるんだコレは!地球星人のワナか!?」

「まずい!動きが早すぎて身動きが取れない!!」

「このまま上まで行ってしまえば、道具は全て溶けてしまうぞ!!」

「それだけじゃない!上に出てしまうと呼吸が苦しくなり、理性を完全に失ってしまい会話すら出来なくなってしまうぞ!!」

「もうダメだ!!もうすぐ上に出てしまうぞ!!!!」


………。

………………。


「よっしゃあぁー!今日は大漁だぁ?♪」


アイファ星人達は生まれて初めて海以外に生きる生き物を見た。
その生き物は彼らを鷲掴みにした。
理性を完全に失った彼らは、筒状のモノの先端から黒いモノを発射するのがやっとだった。


選択装置

ティー氏は散歩がてらに友人であるエム博士の家に立ち寄った。


「お久しぶりです、エム博士。相変わらずお忙しいのでしょうね」

「お久しぶりです、ティーさん。丁度一つ完成したところで、誰かに見せたかったところなんですよ。どうぞお入り下さい」


リビングにティー氏を案内すると、エム博士はテーブルの上に置いてあった物体を持ち上げた。その物体はソフトボールを半分に切った形状をしており、金属で被われていた。
博士はその物体を自分の顔の前まで持ってくると、質問を始めた。


「ティーさんにお出しするのは、コーヒーか紅茶のどちらが良いかな?」

「コーヒーデス」

「ではアイスとホットではどっちが良いかな?」

「アイスデス」

「と言うことで、アイスコーヒーでよろしいですかな?」

「流石ですね、博士!実はアイスコーヒーが飲みたかったんですよ。するとその装置は人の心を読む装置ですか?」

「いえいえ、違いますよ。持ち主にとって最善な選択を教えてくれる装置なのです」

「ほう、それは凄い。素晴らしい装置ですね。どうでしょう、テストがてらに一ヶ月ほど私にお貸し頂けませんでしょうか?」

「いいですよ。では念のため、装置に聞いてみましょう」


再びエム博士はテーブルの上の機械に質問をした。


「お前をティーさんに一ヶ月ほど貸してあげても良いかな?」

「ハイ」

「やった。それじゃあ、お借りしますよ、博士」

「ええ、どうぞ」


装置を借りたティー氏は、さっそく色々な場面で装置に質問し、装置の選択に従って行動した。
効果は抜群であった。
車の運転中、経路の選択をやらせた時には玉突き事故を避けることが出来た。
彼女との結婚について聞いてみたところ、反対された。装置を信じ、別れ話をしてみると、彼女は他にも何人もの男と交際している事が発覚した。
こんな調子で、装置はティー氏に聞かれる度に最善の選択をしてきた。

そして一ヶ月が経過し、ティー氏はエム博士の家に装置を返しに来た。


「素晴らしい装置でしたよ、エム博士。あらゆる場面で、私にとって最善の選択をしてくれましたよ」

「それは良かったです」

「でも、私、一週間程前に、つい欲を出してギャンブルにこの装置を使ってしまったのです」

「ほう、それでどうなりましたか」

「はい。まず、どのギャンブルが良いかをこの装置に聞いたところ『宝くじ』って答えでした」

「昨日抽選のヤツですな」

「ええ、そうです。さらに装置に尋ねると、博士の家の近くにある小さな売り場が良いと言われたのでそこへ行き、装置の指示で連番で1000枚買いました」

「1000枚もですか!結果はどうでした?」

「見事に大ハズレでした。しかも連番の最後のくじは一等と5番違いですよ」

「……それは申し訳ありませんでした。装置の故障の様ですね」

「いえいえ、謝らないで下さい。私の責任ですし、装置も故障していないと思いますよ」

「それはどうしてです?」

「ここに来る途中、その宝くじ売り場の前を通ったんですが、案の定【この売り場から一等出ました】って張り紙がありました。それを見て解ったんです。コレは楽して儲けようとした私に対する戒めです。そんなことで儲けても私の為にならないって事なんでしょうね。この装置は、目先の事だけでなく、将来の事も考えた上での最善の選択をしてくれたんですよ。コレは素晴らしい装置です。本当にありがとうございました」


しばらく話した後、ティー氏はエム博士に何度もお礼を言いながら帰っていった。
軽快な足取りで帰っていくティー氏を見ながらエム博士はつぶやいた。


「ティーさんの言うとおり、この装置は私が考えていたより良く出来ているようだ。私のもとに無くても、持ち主である私に大金をもたらし、さらには人間関係まで円滑にしてくれた」


馬鹿につける薬

「『馬鹿につける薬』が遂に完成したんだが、効果を試す為、実験台になってくれる人を探したいんだ。君ならどうする」

「そんなの簡単ですよ、博士。人が集まる駅前とかで馬鹿を探せば良いじゃないですか」

「どうやって馬鹿を見分ければいいんだ?」

「えっ!?そんな事も解らないんですか?『あなた馬鹿ですか?』って聞いてみれば一発ですよ!!」

「…別の方法は無いかな?」

「それなら電話帳めくって順番に電話掛けて『あなた馬鹿ですか?』って聞いてみれば絶対見つかりますよ」

「………」

「あっ!そうだ!!馬鹿日本一を決める大会を開いたら良いんじゃないですか?日本中の馬鹿が参加しますから最高の実験台が見つかりますよ!!」

「………次から次へとアイデアが出てくるんだなあ」

「博士のおかげです!多分、あの薬の効果ですよ!私、さらに天才になったみたいです!!」

「なるほどな」

「まあ、元々この辺りには私以外に天才は居なかったみたいですけどね。だって、あの【この文字が見えるあなたは天才です。そんなあなたの頭をさらに良くする薬を差し上げます。○月○日、午前9時、△△駅前の銅像の前にてバラの花を口にくわえてお待ち下さい。お迎えに上がります】って新聞折り込みチラシが見えたのは私だけって事でしょ。あの日、あの場所で待ってたのは僕だけですから!!」

「…そうだな」

「じゃあ、また何か聞きたいことがあったら、いつでも電話して下さい。それじゃ!!」


電話が切れた後、博士はつぶやいた。


「……やはり失敗か」


全知の妖精

「あなたにどんな事でも2つだけ教えてあげます」


適当な木を見つけロープを設置し終えたところだった。ふと空を見上げると妖精が居た。私と目が合った途端、妖精は話しかけてきた。もちろん今までに妖精などというものを見たことは無かったのだが、その容姿を見れば一目で妖精だと解った。


「私は全知の妖精です。過去現在未来の歴史や地理、全ての生き物の心理や行動、秘密など万物の全てを知っています。ですからどんな事でも教えることが出来ます」

「ははっ!妖精って本当に居るんだな。それにしてもどうせなら願いを叶えてくれるとかの方が良かったなあ?。しかも2つってのも半端だし。まあ、いいや。まずは君の能力を試してみる事にするよ。僕の事で知っている事を全部言ってみてよ」

「はい。誕生は………」


妖精は私の生い立ちから事細かく話し始めた。


「………そして自殺を決意し現在に至る。ちなみに今から10秒後、しゃっくりが出ます」


全て完璧に当たっていた。しゃっくりも出た。
この妖精が言うことは間違いなく本当だ。
この妖精の能力を使えばギャンブルで大金を掴むことが出来る。
数字選択式の宝くじなら、今持っている小銭でも充分だ。
そうすれば死ぬ必要は無くなる。
しかし教えてもらえる事はあと1つだけ。
まずはこの樹海を抜け出さなくてはならない。
決心が鈍らない様にと、二日間歩き続けたのでかなり奥まで来ていたし、体力も残っていない。自力で樹海を抜け出すのはまず不可能。
妖精に助かる方法を聞くしか無い。
だが、それだと本末転倒である。
最低でも2つは教えてもらえないとどうにもならない。
良い方法は無いかとしばらく考え込んだ結果、名案が閃いた。
さっそく妖精に聞いてみた。


「君に会う方法を教えてくれ」

「はい。死ぬ間際の人間のもとに私達は必ず現れます。残念な事に、私達に気付かないまま逝く人も大勢居ます。『冥土のみやげ話』を提供するのが私達の役目なのです」


無かった事にしたい失敗

「課長!無かった事にしたい失敗ってありますか!?」


課長が席に着くのを見計らい、エム氏は課長にマイクを突きつけた。
まだ始業前であった。


「一体なんだね、エム君。朝っぱらからいきなりマイクなんか持って」

「いいから言ってみて下さい」

「見てわかるとおり、今朝ヒゲ剃りに失敗したんだよ。ヒリヒリしてかなわん」

「えっ?どこですか??」


エム氏は笑みを浮かべながら手鏡を取り出し、課長に手渡した。


「傷が無い!…一体どうなっているんだ」

「遂に完成したんです、課長!」

「何の事だね」

「以前カラオケに行った時に言ってたでしょ。『このマイクに向かって無かったことにしたい失敗を言うと、本当に無かった事になればいいんだが…』って」

「じゃあ本当に作ったのか!スゴいじゃないかエム君!酔っぱらった勢いで冗談で言ったんだが本当に完成させてしまうとは……。コレさえあれば我が社は倒産を免れるのはもちろん、今後は失敗を恐れず何でも出来る。これから我が社には恐いもの無しじゃないか!」

「はい!!」


エム氏の会社はいわゆるベンチャー企業。
設立以来、増収増益の連続で会社はどんどん大きくなり、業界トップを狙える規模にまで成長していた。
しかし、会社の総力を挙げて始めた事業が大失敗。
結果、莫大な負債を抱え倒産の危機に陥っていた。


「君は我が社の救世主だ。
だが、今ここであの大失敗を無かったことにしてしまったら、君の手柄だとは判らなくなってしまうなあ。よし!エム君。そのマイクを持って社長のところへ行って来い!社長喜ぶぞー!」

「はい!行って来ます!!」


社長の喜ぶ顔を想像し、感情が押さえきれないエム氏。
ノックもせずに社長室に飛び込み、満面の笑みで社長にマイクを向けた。


「社長!無かった事にしたい失敗ってありますか!?」

「君の様な無礼な社員を入社させたことだ!」


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