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リンダリンダ

※このお話はちょっと……というかかなり長めです。


ありゃ?、ホントだ??!
ホントに窓が無いし、ドアはゴツいし・・・。
さらにドアの腰の高さぐらいのところに一辺50cmぐらいの真四角の引き出しみたいなのがついてるし。
話に聞いていた通りだ?。
ドキドキしてきたーー!!

ピンポ??ン♪

ちょっと恐かったけど、勇気を振り絞って呼び鈴を鳴らした。
ココに来る前から恐いもの見たさみたいなのもあってワクワクしてたし。
ってゆーか仕事だから鳴らすしかないし。
やっと見つけたこのバイト!初日にしてクビはイヤだからね!
しばらくするとドアが開いた。


「待っていました。どう・・・あっ」


先輩達が話していた話と違い、ドアについてる引き出しによる取引は無く、いきなりドアが開けられた。


「えっと、あの・・・ピザ屋で?す!」

「・・・・・・ええ。どうぞどうぞ、さあ!中にお入り下さい!」

「えっ!?でも・・・」

「まあ、せっかくですからお茶だけでも飲んでいって下さいよ」

「う?ん・・」


この家は町から少し離れた小さい山の上に建っており近くに民家は無い。
ピザ屋の先輩達によると、以前は週一回程度だったけど、先週からは毎日注文してくれる『超』がつくほどの常連さんらしい。
先輩達からは、
「家主は爺さん」「彼は殆ど家から出ることが無い」「変な顔をしているから人前に出ない」「出前と保存食と通販だけで生活している」「この町の住民の誰も彼を見た事が無い」「彼はきっと人を殺してる」「例の現金輸送車を襲った犯人かも」「仙人が住んでいる」「彼は幽霊だ」
などと聞かされていた。
でも、この家に着いて先輩達が話していた事は嘘だらけって解っちゃった♪
引き出しはあったけど、パチンコ屋さんの景品交換所みたいに引き出しでお金と物品の取引をするって話は嘘だったし、爺さんが住んでるって言ってたけど実際に住んでいるのは若い女の人だったし・・・。

わかった!!

これはきっと新人バイトを脅すためのドッキリなんだ♪
これはあの店の恒例イベントなんだ!
出前を拒否したり、途中でビビって逃げた新人バイトは使えないヤツと見なされ即クビ!
コレはテストに違いない!それなら、この人もグルのハズ!!
なるほど、けっこうみんなお茶目な先輩達&楽しい職場なのかも♪
それにしても気になる事がある。
女の人が左手で大事そうに持っているあのネズミ。


「あのぉ?・・・そのネズミはなんですかー?ペットですかー!?」

「まあ、そんなところですね。昔は実験にも使っていたモルモットらしいんですが・・・」

「実験?ココで何かの実験をされているのですかー?」

「えぇ・・・まあ、発明をやってまして・・・」

「発明って・・・、発明家なんですかー!?」

「ええ・・・まあ、一応・・・博士かな・・・」

「スゴーい!!こんなに若いのに博士なんですねー!」


彼女が左手の力を緩めると、ネズミは彼女の肩の上まで登り、首筋に吸い付いたり、腰を振ったりしだした。
正直ちょっと気持ち悪い。


「こんなに人になつくネズミなんて初めて見ましたよ!じゃあ、動物を人になつかせる薬を発明し、そのネズミに飲ませたんですかー?」

「ん?まあ、近いけどちょっと違います。・・・実は、惚れ薬なんです」

「惚れ薬!?」

「ええ」

「それって人間にも効くのですか!?」

「もちろん」

「すっごーーい!!発表すれば大ヒット間違いなしですね!!」

「おそらくそうでしょうね」

「ところで、そのネズミさんは何て名前なんですか?」

「リンダって言うの」

「えっ、リンダ!?じゃあメスなんですか!?」

「そうなの。私に惚れちゃって自分の事をオスって思ってるみたいだけどね(笑)」

「へえ???!すご???い!!おもしろ??い!!他にもいろんなクスリとか発明品とかあるんですかー!?見たいなーー!!」

「ええ、もちろんですよ。私もあなたとじっくりお話がしたいです。ここ数年、全く人に会っていませんでしたから・・・。あっ!こんなトコロで話すのもなんですし、コチラへどうぞ」

「では、お邪魔しま??す」


多分、ドッキリだからノッてあげなきゃね♪
それにもしドッキリじゃなかったとしても、私と同じ女性だし、歳も私と同じで高校生ぐらいみたいだから危険は無さそうだし、SF好きな私は発明とかに興味があるので上がってみる事にした。
家に上がると玄関のすぐ脇にあるお茶の間らしき部屋に案内された。
お茶の間と言っても、机と座布団、大きな金庫とその上に置かれた電話、電話帳が置いてあるだけ。
あと、机の上には古いラジオも置かれていた。
これだけ。他には何もない。もちろん窓も無い。
今は夜だからあまり違和感が無いけど、昼も電気を点けてないと真っ暗だわコレ!
それにテレビや雑誌、新聞とかも一切見当たらなかった。
コレが生活感が無いってヤツだわ!
流石にこんなのには憧れないけど・・・。


「まずはお金を払わないとね」


博士は金庫の方へ歩いて行く。
よく見ると金庫の扉は半開きだった。
博士が金庫を開けると中にはお札の束がギッシリ。あとは古い書類、通帳と印鑑があるのも見えた。
博士は札束の中から一枚取り出し持ってきた。
手渡されたのは旧紙幣の1万円札だった。
それも一つ前のものではなく二つ前のものだ。テレビで見たことがあるけど実物は初めてだ?。
そう言えば、古い紙幣での支払いが多いって先輩が言っていたわ。


「お釣りはいいわ」


ほ?らヤッパリ!
コレはテストだわ!!
ちゃんとお釣り渡さなきゃクビになるんだわ!!


「いえ!ダメです!!」


キッチリお釣りを渡した。


「まあいいわ。じゃあ早速2人で食べましょ♪最初からそのつもりで頼んだのよ。いつもの倍の量を注文したからわかるでしょ?」


コレはどう答えたらいいんだろ?
そう言えば・・・ココに来る前に先輩が、
「でも、いつもはピザ一枚だけなのに今日は二枚なんだよな?。
サイドメニューやドリンクのオーダーもあるし・・・なんでだろ?
あのジーサンに来客とは思えないし・・・
届けたら、『一緒に食べよ♪』って誘われたりして(笑)
もし誘われたら食ってきていいよ。今日は暇だし、謎のジーサンに会えるチャンスだからな(笑)」
って言ってた。

なるほどね!
全部解った!!

今日はココで私の歓迎会をするつもりなんだ!!
きっと後から先輩達も来るんだ!!
ココは本来は誰も住んでいない廃屋!
この人もバイト仲間!!
そうに違いないわ!!


「じゃあ遠慮無くいただきま??す!!」

「ええ!どうぞ!!」


自称博士の彼女は嬉しそうだった。


「そう言えば・・・さっき『ここ数年、全く人に会っていませんでしたから』って言ってましたけど・・・数年って・・・どれぐらいですか?」

「20年になるわ」


ぶはっっっ!!!!
思わず吹き出しそうになった!
いくら何でもそれはあり得ない。
先輩達も詰めが甘いわ?。
どう見ても二十歳前なのにそりゃないわ?(笑)
でも一応ノッてあげなくっちゃ♪


「えっ!?20年!?・・・博士、何歳なんですか!?」

「いくつに見える?」

「私と同じ17歳!」

「残念!37です!」


また吹き出しそうになった!
いくら何でもそれはあり得ない。
てゆーかそんな嘘設定をする意味が不明だし(笑)


「嘘だ?♪」

「本当よ。不老不死のクスリを飲んでるの。」

「ホントですか??。信じらんないなぁ?。じゃあ、免許とか見せて下さいよ♪」

「ゴメンね。身分証明書の類は何も持ってないのよ。ちなみにリンダも不老不死のクスリを飲んでるの。リンダは今年で43歳なのよ。普通、モルモットの寿命は4,5年ぐらいなんだけど・・・・・・まあ証拠は無いけどね・・・」

「ははは・・・」


こってるなぁ??。そこまで設定するんだ(笑)
それに、こんな馬鹿げた事を真顔で話すなんて、ある意味スゴいわ(笑)
てゆーか、いくらドッキリだからってこの設定は意味不明だし(笑)


「ゴメン。トイレ行ってくる。遠慮せず食べててね。」


自称博士とリンダは部屋を出ていった。
金庫の扉は半開きのままだ。
私は迷わずに金庫に向かった。
もちろんあのお金を確かめるために。
一番上だけ本物で残りは新聞紙のハズ!

・・・。

アレ??・・・本物だ・・・。
よくわかんないけど、全部本物のお金にしか見えない。
えっ!?コレ数十億はあるじゃん・・・。
もっとあるかも・・・・・・。
良く出来たカラーコピーかも知れないと思い、何枚か番号を見てみたけど・・・どれも違う・・・。
しかも、殆どは2つ前の旧紙幣だけど1つ前のや現行のもあるし・・・。

何コレ!?
なんでドッキリにココまでするの!?
良く出来た偽札だとしたら・・・思いっきり犯罪じゃん!!
あのピザ屋が偽札偽造集団って事!?
それともこのお金本物!?
なんでこんなに無防備なの!?
なんでバイト初日の私にそんなモノ見せるの!?
無理矢理仲間に引き込むため!?

わけわかんない!!
ちょっと恐くなってきた・・・。

力無く机に戻る途中で自称博士とリンダが帰ってきた。
彼女の手には氷の入ったグラスが二つ。
それに小さな段ボール箱も持っていた。
「ゴメンねリンダ。少しだけ我慢してね」
そうつぶやいた後、彼女はリンダにキスをし、段ボールの中に入れフタを閉めた。
なにこの演出・・・何かの伏線なの!?気持ち悪いだけだし。
閉じこめられたリンダは悲しそうな声で泣いていた。
少し気味が悪くなってきたからぶっちゃけて聞いてみる事にした。


「ねえ、うちの先輩達はこの家には爺さんが住んでいるって言ってたんですけど、何でか知ってます?」

「コレを使ったのよ」


グラスにウチの店から買ったペットボトルのお茶を注ぎ終えると彼女はポケットからマイクを取り出した。


「ほら、こんな風に声が変わるの。だからあなたのお店だけじゃなくて他の出前の人とかもお爺さんが住んでいるって思っているでしょうね」


マイクに向かって話す彼女の声は老人の声になっていた。


「へえ?。良く出来たボイスチェンジャーなんですね」

「ただのボイスチェンジャーじゃないのよ。ある博士の声を忠実に再現しているの。この声も歳を取るようになっているのよ。つまり昔はもっと若い声だったのが・・・」

「なにそれ!?バカじゃないの!?」


もう我慢出来ない!!


「えっ!?」

「わけわかんない!!なんなのその変な設定!!コレって新人バイトを試すためのドッキリなんでしょ!?それなのにあのお金は何?もしかして偽札?だとしたら犯罪じゃん!!それになんでこんなに無防備なの!?」

「ドッキリ?何のことですか?それに、お金は正真正銘本物です。お金を隠さないのは、あなたになら見られても盗られても構わないからよ」

「なにそれ!?ヤッパリ私を引き込むつもりなの!?それに、なんでこんなにお金があるの!?このピザ屋は銀行強盗グループか何かなの!?」

「あなた何か勘違いしてるみたいね」

「もうとぼけないで!!コレはドッキリなんでしょ!!もうバレてるんだから芝居はやめて!!気持ち悪い!!もう帰ります!!」

「待って!!私はピザ屋さんとは何の関係も無いの!本当に発明家なの!!あなたとお話をしていたいだけなの!発明品に興味があるんでしょ!?」

「じゃあ、何かわかりやすいものを見せてよ!」

「わかったわ。だったらコレを見て」


彼女は立ち上がり隣の部屋に入って行った。
私は席を立たずに覗き込んでみた。
そこには大きなビンゴマシーンのような機械が備え付けられており、ドラムの中には薄緑色の錠剤が数千個は入っている。
彼女はおもむろにビンゴマシーンのハンドルを回しだした。
するとドラムは回転し、中の錠剤が音を立ててかき混ぜられ、みるみる白くなっていく。
ドラムが2,3回転する頃には全ての錠剤は真っ白になっていた。
箱に閉じこめられたリンダは悲しそうな声で泣き続けている。


「コレが不老不死の薬なの。薬としては未完成なので最低でも6時間に一度はこうやって撹拌してやらないとダメになってしまうらしいの。」

「それがどうしたの!?そんなの見せられてもわけわかんないだけよ!!もっとわかりやすいものを出してよ!!」

「ええ。わかったわ」


彼女は奥の棚からスプレーを取り出すとお茶の間に戻り、自分の左手に向けてスプレーを噴射した。
すると彼女の左手が消えていった。
あっけに取られていると、私の右手にも吹き付けられた。
私の右手も消えた。


「どうなったの、コレ?何したの?」

「透明になっただけです。ちゃんと手はありますよ。そのグラスを持ってみて下さい」


机にはさっき彼女がお茶を入れてくれたグラスがある。
消えた右手をのばすと見えない指先がグラスに当たった。
感覚を頼りに手を動かすとグラスを掴む事が出来た。


「ホントだぁ、すごい・・・・・・あっ!でもコレ、ちゃんと元に戻るの!?」

「ええ、大丈夫よ。ほら見て!もうすぐ元に戻るわ」


そう言いながら彼女は自分の顔の前に透明な左手を持って来た。
しばらくすると彼女が言った通り左手が見えてきて元通りになった。
グラスを掴んでいる私の右手も見えるようになった。


「すごーーーい!!じゃあ、本当に発明家なのね!!さっきは変な事言っちゃってごめんなさい」

「いいのよ。疑われて当然ですものね。」

安心したし、喉が渇いていたので一気にお茶を飲み干した。
閉じこめられているリンダは相変わらず悲しそうな声で泣いたままだ。

「それにココにある発明品は私が作ったんじゃなくて、全部博士の発明したものなの」


彼女は嬉しそうな顔をしている。


「博士って・・・あなたが博士なんでしょ!?ヤッパリ違うの?」

「ヤッパリって事は・・・バレてましたよね(笑)。コレを見れば全てわかります」


彼女は金庫から一冊のノートを取りだし、机の上に広げた。


「ここから読んでみて」


そのノートは日記帳だった。

????????


日付は40年前の6月27日。

特定の種類の鳥の雛に見られる刷り込み現象をヒントにして作ったこの「惚れ薬」は大成功のようだ。
試薬を与えたメスのモルモットは発情周期でもないのに求愛行動を開始した。
惚れ薬を飲んだ後、一番最初に認識した他者に惚れるこの惚れ薬。
試薬を与えたメスのモルモットは、同じ囲いの中に居る他のモルモットには目もくれず、私が一番最初に見せたメスのモルモットにのみ求愛行動を行っている。
実際は一番最初に見たのは薬を与えた私であったが、どうやら対象外のようだ。
惚れる対象は同じ種族に対してのみのようだ。
もう少し実験をしたいがもう時間がない。
とりあえず副作用は無いようだ。
明日の朝、妻が離婚届けを持ってこの研究所にやってくる。
妻との復縁を薬に頼るのは気がとがめたが、私にはコレしか思いつかなかった。
必要は発明の母とはよく言ったものだ。
好奇心だけで作った「透明になる薬」は1分しか持続しないし、「不老不死の薬」も中途半端なままだ。私自身が透明人間になりたいと思っていないし、不老不死なんてまっぴらゴメンだと考えている。
必要性を感じないから一応の形まで完成した時点で満足し、別の研究に取りかかっていた。最近はいつもそのパターンだ。
だが今回は違う。
妻とやり直したいからこの惚れ薬を完成させる事が出来た。
2人でコレを飲めば元通りになるはずだ。
5年前に大発明をし、巨万の富を得た。
そしてこの研究所を建てた。
今思えばそれがいけなかった。
この研究所が出来てからというもの、研究に没頭するあまり本宅に帰らずココで寝起きする生活が続いた。
妻は初めの頃は食事を作りに来てくれていたのだが、やがて・・・。
悪いのは私だ。
兎に角、この薬が上手く作用すれば、私の研究に対する情熱は妻に向けられる事になり全てが上手く行くはずだ。
そして、この研究所は解体した方が良さそうだ。


6月28日


妻が来る前に惚れ薬を飲んでおいた。
妻の分はお茶に溶かせておいた。
準備は完了した。
妻が来るまでまだ時間はあるので、先にモルモットの様子を見に行く事にした。
既に惚れ薬は飲んでいたが昨日の実験により異種族に惚れることは無いことが判明している。

驚いたことにモルモットは一匹を残して全て噛み殺されていた。
生き残ったモルモットは昨日惚れ薬を飲ませた個体だった。
さっきからずっと鳴き続けている。
私を発見すると彼女は私に対して求愛行動を開始した。
昨日、メスのモルモットにのみ求愛行動を行っていた理由が理解不能だが、そんなことはどうでもいい。
返り血を浴びて赤くなった彼女を見た時から私は彼女を愛していた。
何故今まで彼女の魅力に気付かなかったのであろうか。
何故こんな事をしたのかはすぐに理解できた。
彼女は私が他のモルモットを愛してしまうのを恐れたのだ。
私も同じ気持ちだった。彼女が殺していなければ私がやっていた。
彼女を他のモルモットにとられない為に。

私は彼女をリンダと名付けた。
しばらくリンダと見つめ合っていたが妻が来たようだ。
妻の要求通り離婚届けに記名捺印した。
本宅も彼女の名義に変更し、財産も二分する事で合意した。
今後一切関わらないと言う条件付きでだ。
私はリンダさえいれば他に何もいらない。
ココでリンダと永遠に一緒にいられればそれでいい。

しかし、リンダはあと2年もすれば寿命で死んでしまう。
それはイヤだ。彼女の居ない生活なんて考えられない。
不完全ながらあの「不老不死の薬」を使うしかない。
1年に1錠ではあるが飲み続けないと一気に老化してしまったり、何故か定期的に撹拌しないとすぐに変色し効力を失うし、この建物から出すと変色し効力を失うなどの欠点があったが、老化と病は完全に防止できる。
それと、栄養は摂らないと餓死するし、外傷等での物理的な死は防げない。
すなわち食料は必要だ。
食料は、金さえあれば通信販売や出前で事足りる。

私は銀行へ行き数億円引き出した。
預金はまだ数百億円あったがコレを全て定期にする代わりに、毎年、利息の半分を研究所に持ってきてもらう契約を交わした。
コレで金の心配はいらない。

研究所に戻るとリンダを手に載せた。
リンダは嬉しそうな鳴き声をあげ私の肩まで上がってきて首筋にキスしてくれた。
このままリンダと戯れていたかった。
だがそうはいかない。
その為にやっておかねばならないことがある。
研究所にある材料で出来る限りの「不老不死の薬」の量産を行った。
約2000錠出来た。
つまりリンダと1000年暮らす事が出来る。
いや、無くなる前に材料を仕入れ、また薬を作れば永遠に一緒に居られるのだ。

次に、この薬を撹拌する装置が必要だ。
既に初めに出来上がった薬から順に緑色に変色を始めている。
撹拌装置は電動にしたかったが、時間がない。
手っ取り早く手動のドラムを完成させた。

次に玄関のドアに受け渡し用の引き出しを設置した。
リンダに他の人間、いや生物を見せたくないからである。
リンダが他の人間に好意を抱くかもしれない。
リンダも私と同じ事を考え、他のモルモットを殺した。
おそらく私も同じ事をしてしまう。
そうすれば間違いなく捕まってしまう。
それは避けなくてはならない。

最後はボイスチェンジャーだ。
今から数十年間は私を知るものが訪ねてくるかもしれない。
今は問題ないが、40年後にもこの若い声のままだと不自然だ。
今の私の声をベースに、年月と共に声が老けていくボイスチェンジャーを作りあげた。
コレで完璧だ。

全ての準備が整い、こうやって日記を書いているのだが、その時間さえも惜しくなってきた。
肩の上にいる愛するリンダと戯れていたい。
リンダの事だけ考えていたい。
リンダ・・・
リンダリンダリンダ
リンダリンダリンダリンダリンダリンダリンダリンダリンダ


????????


次の日記は20年も日付が飛んでいた。


????????


日付は20年前の6月7日。


あの日から20年が経った。
日記を書くのも20年ぶりだ。
リンダと過ごした日々は幸せそのものだった。
だが、最近浮気願望が芽生えてきた。
もちろん今でもリンダのことは愛している。
この20年間、リンダの事しか考えた事が無かった。

何故なのか?

一つの仮説が思い浮かんだ。
この浮気願望は薬の副作用に違いない。
薬の効果が切れかかり、副作用が現れたのだ。
間違いない。
ならば逆らえない。
きっとそうだ・・・。


6月8日


今日から昼と夜は必ず出前を取ることにした。
もちろん浮気相手を見つける為だ。
ただしルールがある。

1.相手の顔を見ることはしない。
コレはリンダへの裏切りになるからである。
2.電話の声のみで相手を見つける。
これだとリンダへの裏切りにはならない。

他の人間が見れば理解に苦しむであろうが、誰しも自らが作り出したルールに縛られて生活している。

例えるならば、風俗嬢にありがちな、他の行為は良くてもキスだけは絶対にNGという自分ルールだ。

私の決めたこのルールも私特有の自分ルールかも知れないが、薬の副作用かもしれない。


6月14日


決めた。
ラーメン屋だ。夜は毎日若い娘が出前している。
彼女に決めた。
彼女はいい声をしている。
きっといい娘のハズだ。
間違いない。
明日決行だ。


6月15日


来た。
私は惚れ薬を飲み玄関に向かいドアを開けた。
思った通りだ。
高校生ぐらいの美しい娘だった。
自転車で山を上ってきたため、息が上がっていた。
私は用意していたお茶を差し出した。
もちろん惚れ薬をとけ込ませてある。


「こんな山奥まで毎日ご苦労様です。お茶でも飲んで下さい」


彼女はビックリしていた。
当然の反応だ。
いつも通り引き出しで受け渡しすると思っていたのであろう。
それに町では私について変な噂が広まっていてもおかしくない。
彼女も私についての噂の一つや二つ聞いているかも知れない。


「ありがとうございます」


意外にも臆すること無くお茶を受け取ってくれた。
純粋だ。
やはり彼女は素晴らしい心の持ち主だ。
私は彼女がお茶を飲む姿に見とれていた。
だが、一つの失敗に気付いた。
肩の上に居るリンダだ。
お茶を飲み終えた後、私ではなくリンダを先に見てしまえば彼女はリンダを愛してしまう。
私はあわててリンダを捕まえ胸の前に持ってきて両手で覆い隠した。
突然の事にビックリしたリンダは鳴きだした。


「ごちそうさまです」


彼女と目が合った。
大丈夫だ。
リンダはまだ鳴き続けていたが、念のためもう少し我慢してもらった。
急に彼女の顔が赤くなった。


「えっと・・・あの・・・」

「どうしました?」


彼女はもじもじしている。
実に可愛らしかった。


「明日からココに住んでいいですか?」

「えっ!?」

「一目見た瞬間、好きになってしまいました」


上手くいった!大成功だ!!
リンダはまだ鳴き続けていた。
もう大丈夫だと思い、手を離してやるといつも通り肩の上に上り、私の首筋にキスをした。


「実は私も一目惚れしました。是非、一緒に住んで下さい」

「ありがとうございます。嬉しいです。では明日の朝また来ます」

「私は今からでも構わないよ」

「いえ、両親は私がココに出前に来ていることを知っています。ですからすぐに見つかってしまいます。明日の朝、学校へ行くフリをして荷物を持ってココへ来ます。ダメ・・・ですか?」

「その方が良さそうだね。わかったよ」


彼女は店へと帰っていった。

上手くいった。

その後、彼女はいつの間にか器を引き取りに来たようだ。
私は彼女に会って以来、彼女の事ばかり考えている。
ひとときも離れていたくない。
きっと彼女も同じ気持ちなのだろう。
だから中途半端に私に会ってしまうのが辛かったのであろう。

リンダへの想いはどうだろうか。
以前よりは落ち着いたが、やはり今もリンダへの思いは変わらない。
彼女ならきっとリンダとも上手くやってくれるハズだ。
明日、彼女にリンダの事を話してみよう。きっと理解してくれるハズだ。


??????


日記はココで終わっていた。


「じゃあ、このラーメン屋の出前があなたなのね」

「そう言うことです」


彼女の肩にはリンダが乗っていた。
私が日記を読んでいる間に箱から出してあげたのだろう。


「博士はココに居るの?」

「地下に・・・」

「・・・」

「多分、あのお茶を飲んだ直後、博士の指の間からリンダを見たんだと思う。あの時、私はリンダに一目惚れしていたんです。なのにリンダは・・・」

「恋敵は邪魔だもんね」

「翌日、博士を始末した私はこの机の上に置いてあったこの日記を見て全て悟ったわ・・・日記に書いてないことで解ったこともあるの。薬の効果が現れ始めた直後の12時間はスゴく冷静でいられるし頭もさえているの。きっと卵の中に居るときのような準備期間のようなものだと思うわ。雛は卵の中で外に出る準備をするけど、この薬を飲んだ者の場合は愛する者と一緒に居られる為の準備をするの。そして卵から出た後、つまり12時間経ってから薬の効果が弱まるまでの20年間は殆どリンダの事しか考えられなかったわ」

「なるほどね。じゃあ博士と同じ失敗をしないように、あの時リンダを箱に仕舞ったのね」

「ええ、とても辛かったわ・・・」

「そっかぁ・・・」

「でもあなたを手に入れる為にはこうするしか無かったの」

「でも本当は私じゃなくて、いつもココに出前してた先輩を家に上げて薬を飲ませるつもりだったのね」

「確かにそうよ。・・・だけど今はコレで良かったと思ってる!こうしてあなたに会えたから!!」

「私もよ。まさか私が同性を好きになるなんて考えてもいなかったもん」


私は彼女と抱き合いキスをした。


「離れるのは辛いけど・・・、私は今からバイトに戻って明日の朝また来るね♪」

「私も辛いけど、そうしないといけないのは知ってるわ。待ってます」

「あ、そうだ!不老不死の薬だけはちゃんと撹拌しておいてね。ずっと一緒に居たいから♪」

「ええ。もちろん」


私はピザ屋に戻った。
先輩の一人が話しかけてきた。


「遅かったな?。どうだった?」

「先輩の言ってたとおりでしたよ??!引き出しで受け渡ししましたよ?!何者なんでしょうねあの爺さん!」

「さあ。変わり者なんだろな」

「しかも帰りは陽が落ちてて真っ暗だったから道に迷っちゃいましたよ。恐かったぁ?」

「あはは。そういやオレも最初行った時は迷ったわ」

「そうですよね。なにもあんな山奥に家を建てなくてもイイのに・・・」

「そうだよなあ。・・・あ、出来たみたいだから次はココ行ってくれる?」

「ハイ!」


・・・・・・。


無事に仕事を終え、家に帰った。
翌朝、荷物をまとめ、学校へ向かうフリをして再びこの家にやってきた。


呼び鈴を押すとドアが開いた。


「来てくれたのね。寂しかったわ」

「私もよ」


私達は抱き合った。


「不老不死の薬はちゃんと撹拌してくれた?」

「ええ。ちゃんと6時に撹拌したわ」

「最後にリンダに不老不死の薬を飲ませたのはいつ?」

「ちょうど一週間前だけど・・・どうして急にそんなこと聞くの?」

「卵の中では声しか聞こえないのよ」

「えっ?なに言ってるの??」





コレが彼女の最後の言葉になった。



リンダは泣き叫びながら、動かなくなった彼女の背中に刺さった包丁の周りをグルグルと走り回っていた。
けど、捕まえて惚れ薬を飲ませるとすぐに私を愛してくれた。
彼女を博士の隣に連れて行った後、私は不老不死の薬を飲んだ。
これからはずっとリンダと一緒に居られるわ。
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この記事へのコメント

 ◆

はじめまして。
結末が気になってスラスラッと楽しく読めました。
これって、結果的に一番長生きしている○○○の勝利なんですよね?

 ◆

>chaosさん
ご訪問ありがとうございます。
お返事遅れてしまいすいません。

勝者を決めるならば○○○の勝利ですね。
おそらく20年後も……

 ◆熱帯魚・アクアリウム

熱帯魚・アクアリウムを探すなら http://www.mnpainctr.com/101213/203107/

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